カラコンが原因で目のトラブルが起きたなど、不安になる情報は少なくありません。
カラコンを付けたいけれど、安全か不安。
どんなカラコンを選べばいいの?
そんな初心者の疑問や不安を東青梅診療所の眼科医・武信敦里先生に伺いました。
この記事を監修した医者
武信敦里先生
日本大学医学部卒業日本眼科学会専門医 東青梅診療所に勤務
赤ちゃんからご高齢の方まで、優しく丁寧に診察させていただいております。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。
カラコンは普通のコンタクトレンズとどう違う?
Q:カラコンと通常のコンタクトレンズはどこが違うのでしょうか?
A:コンタクトレンズは近視、遠視、乱視、老眼などの方が、視力矯正目的で装着するものです。
カラコンはおしゃれ目的で選ぶ方が多いですね。
カラコンとコンタクトレンズに製品として大きな違いはありません。
どちらも高度医療機器ですので、厚生労働省の承認を受けている製品でしたら危険性は低いかと思います。
危険なカラコンとは?海外製品は要注意
Q:カラコンが原因で目のトラブルが起きたという話を耳にします。どんなカラコンが危ないのでしょうか?
A:海外製のコンタクトレンズは、品質が保証されていないものが多いです。
特にインターネットや、雑貨店等に売られているものを購入するのは避けるべきですね。
もちろん海外製はすべて危険というわけではありません。
さきほどお話したように、『高度管理医療機器承認番号』の記載があれば、日本の安全基準をクリアしている証明ですので安心して選んでください。
Q:どんな危険性があるんですか?
A:1つは酸素が通しにくい製品を着用するトラブルです。
目に酸素が行き届かないことで、角膜が剥がれやすくなり、のリスクが高まるなどが考えられます。
粗悪品の場合、カラコンの着色料が溶け出して角膜に色がついてしまったというケースもあります。
短時間の着用でも角膜障害は起きるので要注意です。
角膜に炎症を起こす角膜感染症になる可能性もあります。
Q:どうすれば粗悪品を避けることができるのでしょうか?
A:一番は眼科に併設されているコンタクトレンズ専門店で購入することです。
通販を使いたい場合は、『高度管理医療機器販売許可』を取得している業者から購入するようにしましょう。
目の大きさやカーブも人によって違うので、合った製品を選ぶことは大切です。
目に合っていないと、ズレてしまうなど使い心地が悪くなってしまいます。洋服と同じで自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
特にはじめてコンタクトをされる方は、必ず眼科で購入してください。お手入れの方法や使い方の注意点などの説明も受けられるので安心ですよ。
おすすめの安全なカラコンとは?
Q:初心者はどんなカラコンを選ぶべきでしょうか?
A:高度管理医療機器として承認されている製品であることは大前提で、その中でも1日使い捨ての、酸素透過率が高い製品がおすすめです。
通常のコンタクトレンズでも同じですが、はじめてコンタクトレンズを使う人は1dayタイプがベストです。
目のトラブルが起こったらすぐに外せますし、お手入れに慣れていない方でも衛生的に使えます。
Q:カラーの選び方などでも注意点はありますか?
A:色はご自身の好みで選んで大丈夫ですが、はじめての場合は視界への影響が少ない、着色面積の少ないタイプがおすすめです。
具体的にはサークルレンズや輪郭強調タイプのレンズです。
カラコンの着色方法は大きく3種類あります。
- 1)レンズの内側に着色剤を印刷したタイプ
- 2)レンズの外側に着色剤を印刷したタイプ
- 3)着色剤を素材の間にはさみ、サンドイッチ構造にしたタイプ
この中では色素が漏洩するリスクが低い3のタイプが比較的安全です。
カラコンを安全に使うポイント
Q:カラコンを安全に使う方法を教えてください
A:守るべきポイントは2つで、衛生的に取り扱うこと。定期検診を受けることです。
付ける時、外す時は事前に必ず手洗いをおこないましょう。そのため、爪は短く切るのがベターです。
コンタクトレンズには裏表があるので間違えないように確認してください。
特に初心者は長時間の着用も避けるべきで、うっかり付けたまま寝ないように気をつけましょう。
また、正しい扱い方は眼科で教えてもらえます。初心者は眼科医院併設のコンタクト販売店で購入するようにしてくださいね。
Q:初心者がやりがちなミスはありますか?
A:よくあるのが水道水で洗ってしまうことです。
Q:水道水で洗ってはいけないんですか?
A:「アカントアメーバ」という微生物が含まれています。
このアカントアメーバがコンタクトレンズに付着し、目の中で増殖してしまって「アカントアメーバ角膜炎」を起こすことがあります。
最悪の場合、失明してしまう恐ろしい病気です。
そのため、カラコンに限らずソフトコンタクトレンズも水道水で洗ってはいけません。
ハードコンタクトレンズは大丈夫です。
カラコンで目にトラブルが起きたら眼科へ
Q:目に異常があったら、すぐに眼科に行くべきでしょうか?
A:目の異物感や充血、痛みがなど違和感があれば、すぐにカラコンを外して様子を見てください。
自然治癒する場合はあるものの、なかでも「角膜感染症」といったタチの悪い症状が出ることもあります。
放置したことで角膜混濁を残してしまい、視力回復が望めなくなるケースもあります。
おかしいなと思ったら眼科の受診は必須。コンタクトレンズを扱っていないクリニックでも大丈夫です。
クリニックには使っているコンタクトレンズの箱などを持参しましょう。
どんな製品かによって、トラブルの原因を見つけやすくなります。
人によっては、自分がどんな製品を使っているのか把握していないことも。
自分が何を目に入れるか認識することは安全にカラコンを使うために重要です。
Q:カラコンを使わないほうがいい方はいますか?
A:カラコンに限らず、視力矯正目的でもコンタクトレンズを避けたほうがいい方はいます。
アレルギーが酷い、アトピーがある、ドライアイなど。
点眼をこまめにするなどで対処できるレベルの場合もありますが、眼科で相談してみてください。
症状がなくても、半年に1度は眼科で検診を受けましょう。
自覚症状がなくてもトラブルが発生している場合も。
カラコンを適切に利用しないと、失明してしまうケースもあります。
日頃から目の様子を観察し、異常がないかチェックする習慣をつけましょう。
この記事を書いた人
ライター・加藤真奈
名城大学薬学部薬学科卒業 薬剤師歴7年
都内の調剤薬局にて勤務しながら、医療の正しい情報を伝えるべく2018年からライターを兼務。